お手入れの前に:同じ素材でも製品によって適切な方法は異なります。製品の取扱表示がこの記事の内容より優先します。判断に迷う場合は安全にお手入れするためにをご確認ください。

店頭に並ぶクリームは、無色と色つきで棚が分かれています。買うのは色あせを戻すためではなく、いつもの手入れで1本を選ぶ場面です。ここで見るのは色見本ではなく、いま履いている靴の状態そのものです。

傷も色ムラもない靴なら、無色で足ります

無色か色付きかを靴の状態から決める図 傷や色ムラがない靴、新品の靴、珍しい革色で風合いを保ちたい靴は無色クリーム、傷や色抜けがある靴は同系色の色付きクリームを選ぶという判断図 靴の状態で、無色か色付きかが決まる 傷や色抜けがなく、新品または風合いを保ちたい → 無色クリーム。色ムラの調整はできないが経年変化をそのまま楽しめる (M.モゥブレィのデリケートクリーム・シュークリーム等が無色の乳化性クリームに当たる) 目立つ傷、部分的な色抜け、色ムラがある → 靴と同系色の色付きクリームで補色する 同じ色が店頭に見当たらない → 靴の色より少し薄い色を選ぶ。濃い色は避ける クリームは油分を含むため、薄めの色でも塗ると靴の色に近づく 大きく色あせた靴の補色は`color_fading_and_recolor_limits`を確認

M.モゥブレィは、無色クリームについて「革の色ムラを調整できない」代わりに「革の色で経年変化をみれる」ものと位置づけ、色付きクリームは「色のバランスを整えることができる」ものとして対比しています。[L01] どちらが優れているという話ではなく、いま手元の靴に色ムラや傷があるかどうかで決まる選択です。

無色が向くのは、直す箇所がない靴

同じくM.モゥブレィは、無色(ニュートラル)クリームを使う具体的な場面として、靴が新品でまだ補色の必要がないとき、珍しい革色で今の風合いを活かしたいとき、傷やスレがなく補色する箇所がないときを挙げています。[L02] 代表的な無色の乳化性クリームには、デリケートクリーム、アニリンカーフクリーム、シュークリームの3種類があります。[L02] つまり無色は「何にでも使える万能品」ではなく、「直す必要がない靴のための選択肢」です。

一方で、傷を無色クリームで補色しようとしても色は付きません。M.モゥブレィ直営店の案内では、傷を補色するには靴と同系色の乳化性クリームが必要だとしたうえで、シボ(革のシワ)の間にクリームが根詰まりして靴が白っぽくなった例を挙げています。[L04] 無色を選ぶかどうかは好みではなく、直したい箇所があるかどうかで先に決まります。

同じ色が見つからないときは、少し薄い方を選ぶ

候補のクリームを綿棒に取り、コバの内側など目立たない場所へ試し塗りし、乾かしてから色味を確認してから全体へ広げる手順を示す図

靴と完全に同じ色のクリームが棚に無いことは珍しくありません。M.モゥブレィ直営店の案内は、この場合の基準を「靴の色よりクリームの色の方が若干薄めで選ぶ」としています。[L03] 理由も明快で、クリームには油分が含まれているため、薄めの色を塗っても靴の色に寄っていくからです。[L03] 濃い色を選ぶと、まだらな色ムラができたり、靴全体の色が想定より濃くなって雰囲気が変わったりします。[L03]

迷ったときに濃い方へ寄せるのは、この理由から避けてください。薄めの色を選び、目立たない場所で試し塗りをしてから全体へ進めば、色が合わなかった場合の手戻りも小さく済みます。

「無色」「同系色」「濃い色」で結果がどう変わるか

選んだクリーム 傷・色ムラへの効果 起こりうること
無色 補色されない 経年変化がそのまま残る。傷はそのまま見える[L01][L04]
靴と同系色(やや薄め) 色ムラが目立ちにくくなる 油分で色が寄るため、薄めでも自然に仕上がる[L03]
靴より濃い色 補色にはなる まだらな色ムラや、靴全体の色が変わる[L03]

この表はどれか1つが正解という話ではなく、直したい箇所の有無で選ぶ列が変わるという整理です。傷や色抜けが広く、クリームでの調整を超えている場合は、補色クリームやミストの対象になるかどうかをcolor_fading_and_recolor_limitsで確認してください。

出典